Leitzの名で発売されているこのレンズ、Xenon(クセノン)と読みます。

Summarit 50mm f/1.5の原型となっているのですが実は同じドイツのSchneider(シュナイダー)社が生産していたもの。

当時、Leitz社はSchneider社から超広角レンズのSuper-Angulonと大口径レンズのXenonの供給を受けていました。


このXenon 50mm F1.5はこれまたドイツのCarl Zeiss(カール・ツァイス)の

Sonnar 50mm f/2というレンズに対抗するために開発されたもの。

しかし、これが完成したころにCarl ZeissからはSonnar 50mm f/1.5が出てしまったため

大々的に売り出すことは出来なかったんです。

Sonnarを搭載したCarl Zeissのカメラ、Contaxに対抗するためにLeitz社がLeica IIIaに搭載するレンズとして

このXenonを指名してLeitzの名前で発売されることになったという経緯があります。

このレンズは1936年から1950年までの間でわずか6000-6500本ほどしか製造されませんでした。

実際、Sonnarのインパクトが大きかったのであまり売れなかったようです・・・

 

その中でも「Taylor-Hobson British Patent 373950 U.S Patent 」という銘がレンズに入っている珍しいもの。

これは、このレンズの構成はイギリス・アメリカではTaylor-Hobson社の特許だったので

イギリス・アメリカへの輸出用のものにはこの表示を入れる必要があったということですね。

 

1936年のレンズのためノンコート。コーティングありに比べると柔らかめに写ります。

Summarit同様に前玉にキズが付きやすいガラスですがキズは少なめなので、そこまで

ぼやけた感じにはならないと思います。Summaritは丸絞りですが、Xenonは六角絞りとなっています。

とはいえ、Summiluxの原型となったSummaritのベースですので開放(f/1.5)でもピント部分は細かく解像します。

 

ぐるぐるボケも出るので開放で撮る機会が多いかもしれませんが、絞ると色味もハッキリ出てきて

現代的な写りに近くなるので80年前のレンズとは思えないです。

また、Summarit用のXOONSフードも。これがまた格好良いんです。

鋳物で出来た頑強な造りで、表面はちりめん塗装が施されています。

「E.LEITZ WETZAR」というロゴもオシャレな感じです。